日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

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2021年8月17日一本調子の話し方を改めよう!

皆さんは「メラビアンの法則」をご存知でしょうか。この法則は、話をする際、聞き手は何により強く影響されるかということを表したものです。具体的には、① 話す態度(見た目、表情など)② 声の調子(口調や話の早さ)③ 話の内容、のそれぞれが矛盾する話し方をした場合に、①~③のどの情報が強い影響を与えるかを明らかにしたものです。例えば、ぶっきらぼうな表情でぞんざいに「ありがと」と言われたら、本当に感謝しているとは思えないですよね。このように①~③が互いに矛盾する言い方で実験をしたのです。

この法則によると、話す態度が55%、声の調子が38%、話の内容が7%の影響力を持っているとのことです。従って、話をする際には態度や音調は決していい加減にはできません。特に38%の影響力がある音声表現を私たちは日常余り意識しません。

例えば、あることについて自分が悪かったと思っているけど、相手に「ごめんね」となかなか言えないとします。こうした場合、私たちは何とか「ごめんね」という言葉を言おうとします。そして気まずい思いをしながらも小さな声でぶっきらぼうな感じで「ごめんね」と言えたとします。言った方は謝ることができた、と思っているでしょう。しかし、相手は、謝ってもらったかどうかを、言った人の音調で判断します。小さな声でぶっきらぼうに言ったのなら「本心は謝ろうなんて思ってないんだろうな」と判断されてしまいます。なので、こうした場合でも「ごめんね」という言葉を、悪かったという気持ちを音調に表して話す必要があります。

言葉は意味を伝えます。一方、音調はその人の心を伝えるのです。

人前でスピーチをするときも音声表現は非常に重要です。聴き手の心に響く話し方をする人は必ず音声表現が豊かです。強調したい言葉を高めのトーンや強い口調で話したりわざとゆっくりと話したりします。これらは何れも聞き手にその言葉を印象づける効果があります。例えば社内プレゼンで「この施策の狙いは新たな市場の開拓です」と言う場合、強調したい言葉は「新たな市場の開拓」ですね。この言葉を強い口調で言うと話し手の意図がきちんと聞き手に伝わります。また「この施策の狙いは社員満足度の向上です」であれば、強調したい「社員満足度の向上」をゆっくりと話すと聞き手の心にスッと入ってきて納得感が高まるでしょう。

ところで、強調したい言葉の前に少し「間」を取ることもとても効果があります。間を取ることで言葉と言葉の句切りが聞き手に認識されて、次の言葉を受け入れる用意ができるのです。

音声表現豊かに話すには、話に気持ちを込めることがとても効果的です。話に気持ちを込めるためには、頭の中で具体的なイメージを浮かべて話すとよいでしょう。また聞き手が複数いる場合はその中の一人の顔を見てワンフレーズ話し、他の人の顔を見て次のフレーズを話す、というように一人の顔を見て話すととても効果があります。特定の人の顔を見ながら話をすると、その人に話しかける感じになり日常会話のように感情を込めやすくなるからです。

話が面白くない、話しが長い、などと言われる人は一本調子の話し方になっている可能性があります。ぜひ音調豊かに話すようにしてみてください。
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